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勾配(こうばい)

屋根に設ける角度とその役割

勾配(こうばい)とは、屋根面に設けられた角度のことを指します。多くの建物の屋根は水平ではなく傾斜がつけられており、主目的は降雨を速やかに排水することにあります。地域環境によって求められる勾配は異なり、豪雪地帯では雪を落とすため急勾配が採用されることが多い一方、勾配の設定によってメリット・デメリットが生じるため、用途や気候に応じた適切な角度設定が重要です。

勾配の役割と必要性

雨水・雪・美観への影響

勾配の最重要な役割は雨水の効率的な排水で、滞留を防ぎ屋根材や下地の劣化を抑制します。緩勾配は水が溜まりやすく漏水や苔・藻の発生リスクが高まり、急勾配は排水性と雪荷重の軽減に有利ですが、風圧を受けやすく施工・保守の安全性確保が課題となります。外観にも影響し、急勾配は重厚感、緩勾配はモダンな印象を与えます。

勾配の種類と基準

屋根材・地域ごとの勾配設定

勾配は「寸勾配」や「%勾配」で表され、屋根材や地域条件により最低勾配の目安が設けられます。例として、瓦屋根は4寸以上、スレートは3寸以上、金属立平葺きは1寸以上が一般的な目安です。豪雪地域では6寸以上の急勾配を採用する場合があり、強風地域や高さ制限がある地域では緩勾配を選ぶこともあります。

勾配設定の注意点

耐久性・安全性・施工性を考慮した計画

雨水排水性能

適切な勾配は雨水を速やかに排出し、屋根材や防水層の寿命を延ばす。

積雪対策

豪雪地域では雪の滑落性を高める急勾配が有効だが、落雪防止策や雪止め金具の設置も必要。

風圧・耐風性

急勾配は風圧を受けやすく、構造計算や金物固定の強化が必要。

施工・維持管理

勾配が急すぎると施工や点検時の安全性が低下するため、足場や安全設備の計画が必須。

勾配(こうばい)についてまとめ

地域・用途・屋根材に応じた適切な角度設定が重要

勾配は雨水排水・積雪荷重・風圧対策・外観デザインに大きく影響する要素です。屋根材ごとの最低勾配の目安や地域の気候条件、建築制限を踏まえ、過不足のない角度設定と、それに見合った施工・メンテナンス計画を行うことが耐久性と安全性の確保につながります。

建物材質・種類 - 屋根各部名称

葺く
雨仕舞い
勾配

切妻と寄棟
軒先


垂木
野地板
下葺き材
破風板
軒天
水切り板金
雪止め金具