モルタル仕上げ(軒天材)
モルタル仕上げは、ベニヤ板やラスカット板などの下地材の上に、セメント・砂・水を練り合わせたモルタルを塗布した仕上げ方法です。耐火性に優れ、重厚感のある意匠を実現できます。
モルタル仕上げは、下地材にラスカット板を用いることでモルタルとの密着性が向上します。1960〜1980年代には外壁・軒天ともにモルタルが主流で、築年数が古い住宅や和風住宅に多く見られます。外壁と軒天が同素材である場合、塗装メンテナンスも同時に行うのが一般的です。モルタルは燃えにくい特性を持ちますが、経年によるひび割れや色褪せが生じやすいため、定期的な補修や再塗装が必要です。
仕様・性能の要点
モルタル仕上げの構造、性能、施工上の留意点を整理します。
● 構成
下地:ベニヤ板、ラスカット板など。仕上げ:セメント・砂・水を混合したモルタルを塗布します。
● 厚み・寸法
塗り厚は10〜20mm程度。下地材の規格は軒天や外壁の仕様に準じます。
● 耐久性(目安)
適切なメンテナンスで20〜30年程度です。
● 耐火性
モルタルは不燃材料であり、火災時の延焼防止に有効です。
● 耐水性
防水性は低いため、仕上げ塗装や防水塗料が必要です。
● 施工性・施工留意点
下地の処理とモルタルの均一な塗り付け技術が必要です。乾燥期間が必要で工期は長めです。下地とモルタルの密着性確保、防水塗装の実施、ひび割れ防止のための施工計画が重要です。
使用箇所・適材適所と代替材比較
モルタル仕上げの適用範囲と他素材との比較を示します。
● 主な使用箇所
古い木造住宅や和風住宅の軒天、外壁。外壁と一体感を持たせる場合に採用されます。
● 採用理由
不燃性と重厚な意匠性、外壁との統一感が挙げられます。
● 代替材比較
ケイ酸カルシウム板:軽量・耐水性に優れ、施工性が高い。
金属板(スパンドレル):軽量・高耐久・高意匠だがコスト高。
窯業系化粧板:意匠性・耐候性に優れるがモルタル特有の質感は出しにくい。→ モルタル仕上げは耐火性・質感重視の住宅やレトロデザインに最適です。
劣化症状・点検・メンテナンス/費用目安・保険の視点
モルタル仕上げの劣化傾向、点検項目、修繕方法と火災保険の一般的扱いを整理します。
● 劣化症状
ひび割れ、浮き、剥離、塗膜の色褪せ、雨染みなどが発生します。
● 点検の要点
クラックの有無、塗膜状態、防水性の低下、下地の浮きや剥がれを確認します。
● メンテナンス方針・再塗装サイクル
軽微:ひび割れ補修+再塗装。中程度:部分塗り替え+全体塗装。重度:下地から全面改修。再塗装は環境によるが10〜15年ごとが目安です。
● 価格(目安)・保険の視点
3,000〜4,000円/㎡。火災保険は経年劣化や色褪せは対象外ですが、突発的外力による損傷は対象になる場合があります。
モルタル仕上げについてまとめ
モルタル仕上げは、不燃性と重厚感ある意匠性を備えた軒天仕上げ方法です。
耐火性に優れ、外壁との一体感を出しやすいのが特徴です。施工には技術を要し、ひび割れや色褪せ対策として塗装メンテナンスが重要です。 【耐久性】約20〜30年 【価格】3,000〜4,000円/㎡ 【メリット】燃えにくい/重厚感ある仕上げ 【デメリット】ひび割れや色褪せの可能性
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