スラグ石膏板(エクセルボード/軒天材)
スラグ石膏板は、金属精錬時に発生するスラグ(鉱滓)と石膏を主原料とし、板状に成形した不燃系建材です。正式名称はスラグせっこう板で、製品名として「エクセルボード」などが知られています。
スラグ石膏板は、ケイ酸カルシウム板や石膏ボードと同様に不燃性能を持ち、軒天材としても使用されます。スラグ由来の無機成分と石膏が混合されることで耐火性が高く、加工性や施工性にも優れています。外部使用時は塗装仕上げを施し、雨水や紫外線から表面を保護する必要があります。塗膜が劣化すると吸水や表面剥離の恐れがあるため、定期的な塗り替えが推奨されます。木質系材料に比べて耐水性は高いものの、長期的な耐湿環境下では劣化が進む可能性があるため、適切なメンテナンスが不可欠です。
仕様・性能の要点
スラグ石膏板の物理的特性や耐久性、施工時の留意点を整理します。
● 構成
金属精錬副産物であるスラグ粉末と焼石膏を混合し、繊維補強材を加えて板状に成形。内部は多孔質で軽量です。
● 厚み・サイズ
軒天用途では厚さ6〜9mm程度が多く、規格寸法910×1820mmや910×2730mmなど。現場加工が容易です。
● 耐久性(目安)
外部使用で適切な塗装仕上げを行えば約10〜15年、未塗装や厳環境下では5〜10年程度です。
● 耐火性
不燃材料認定を取得可能で、火災時の延焼防止性能が高いです。
● 耐水性
木材よりは吸水が少ないですが、長時間の雨水接触や高湿環境では劣化が進みます。
● 施工性・施工留意点
軽量で切断・穴あけが容易ですが、粉塵が発生するため防塵マスク等の保護具が必要です。端部の防水処理、塗装保護、割れ防止のための丁寧な取扱いが重要です。
使用箇所・適材適所と代替材比較
スラグ石膏板の採用場所と、他の不燃軒天材との比較を示します。
● 主な使用箇所
玄関ポーチ・外部廊下面・庇裏など、不燃性能と加工性が求められる軒天部位で採用されます。
● 採用理由
耐火性と施工性を兼ね備え、コストも比較的安価です。
● 代替材比較
ケイ酸カルシウム板:耐湿性・寸法安定性に優れるがやや高価。
窯業系化粧軒天板:高意匠・高耐候だが初期費用が高い。
金属系軒天材:長寿命だが加工性は低く、価格も高めです。→ スラグ石膏板は不燃性能と加工性、価格バランスに優れた選択肢です。
劣化症状・点検・メンテナンス/費用目安・保険の視点
スラグ石膏板の劣化症状や点検項目、修繕方法と火災保険の一般的な取扱いを整理します。
● 劣化症状
塗膜の退色・ひび割れ、表面剥離、端部の欠け、吸水による膨れなどが発生します。
● 点検の要点
外観確認(塗膜・欠け・割れ)→端部やジョイント部のシーリング状況→裏面や下地の湿気状況を確認します。
● メンテナンス方針・再塗装サイクル
軽微:塗装再仕上げ・部分補修。中程度:部分張替え+全面塗装。重度:全面張替え(同材または他材への更新)。再塗装は環境良好で10〜15年、厳環境では5〜10年が目安です。
● 価格(目安)・保険の視点
材料:1,500〜3,000円/枚。工事費は規模・足場・撤去費で変動します。火災保険は経年劣化は対象外ですが、台風や飛来物による割れ・欠損など突発的外力による損害は補償対象となる場合があります。
スラグ石膏板についてまとめ
スラグ石膏板は、不燃性と施工性、コストバランスに優れた軒天材です。
耐火性と加工性の高さから、現行住宅や改修工事でも幅広く採用されています。木材系より耐水性は高いものの、長期耐久には塗装保護が必須です。 【耐久性】約10〜15年(未塗装や厳環境下では5〜10年) 【価格】1,500〜3,000円/枚、工事費は条件により増減 【メリット】耐火性/加工性良好/コストバランス良し 【デメリット】耐水性は限定的/塗装メンテ必須
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