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ケイカル板(ケイ酸カルシウム板/軒天材)

ケイカル板は、ケイ酸質原料と消石灰を主成分とし、繊維補強材などを混合・成形して板状にした不燃建材です。正式名称はケイ酸カルシウム板で、国土交通省認定の不燃材料として多くの建築部位で使用されます。

ケイカル板は、軽量で加工性が良く、耐水・耐湿・防腐性に優れた軒天材として普及しています。かつては繊維補強材にアスベストが含まれていましたが、現在流通している製品には含まれていません。外部使用では塗装仕上げを行うことで雨水や紫外線から表面を保護し、耐久性を確保します。寸法安定性が高く湿気による変形が起きにくいため、木材や合板に比べて長期的に安定した外観を維持できます。不燃性能と加工性、価格バランスに優れ、現行の軒天仕上げ材としては標準的な選択肢です。

仕様・性能の要点

ケイカル板の物理的特性や施工上のポイントを整理します。

● 構成

ケイ酸質原料+消石灰+繊維補強材を混合し、高温高圧養生(オートクレーブ処理)で硬化。繊維補強材は現在、パルプ繊維や無機繊維が主流です。

● 厚み・サイズ

軒天用途では厚さ3〜6mmが多く、規格寸法910×1820mmなど。現場条件に合わせて切断・加工します。

● 耐久性(目安)

適切な塗装・メンテナンスで約10〜20年程度使用可能。塗装未施工や劣化放置で5〜10年程度に短縮します。

● 耐水・耐湿性

吸水率が低く、湿気や結露による変形がほとんどありません。木材より水に強く、腐食しません。

● 耐火性

国交省認定の不燃材料で、火災時にも有毒ガスを発生しにくい特性があります。

● 加工性・施工留意点

軽量で切断・穴あけが容易ですが、粉塵が発生するため防塵対策が必要です。衝撃に弱いため運搬・取付時の割れ防止、端部処理と塗装仕上げで耐久性を確保します。

使用箇所・適材適所と代替材比較

ケイカル板の代表的使用場所と、他材との比較を示します。

● 主な使用箇所

軒天(庇裏・玄関ポーチ天井など)、外部廊下面、不燃性能が求められる軒まわりで広く採用されます。

● 採用理由

不燃性能・耐湿性・寸法安定性を備え、価格と施工性のバランスが良好です。

● 代替材比較

窯業系化粧軒天板:高意匠・高耐候性だが価格は高め。

金属系軒天材(アルミ・ガルバリウム鋼板):長期耐久・軽量だが初期コスト高。

木質合板(ベニヤ板等):加工容易・低価格だが耐水・防火性能に劣ります。→ ケイカル板は総合バランスに優れ、現行標準として幅広く採用されます。

劣化症状・点検・メンテナンス/費用目安・保険の視点

ケイカル板の劣化パターンやメンテ方法、価格帯、火災保険活用の視点を整理します。

● 劣化症状

塗膜の退色・白亜化、表面のひび割れ、端部の欠け、衝撃による割れ、ビス周りの欠損などが見られます。

● 点検の要点

外観(色褪せ・割れ・欠け)→端部のシーリング→雨樋や破風との取り合い→裏面や下地の腐食有無を確認します。

● メンテナンス方針・再塗装サイクル

軽微:清掃+塗装再仕上げ。中程度:部分張替え+全面塗装。重度:全面張替え(同材または代替材)+下地補修。再塗装は環境良好で10〜15年、厳環境では5〜10年が目安です。

● 価格(目安)・保険の視点

材料:800〜3,000円/枚。工事費は規模・足場・撤去処分の有無で変動します。火災保険は経年劣化は対象外が原則ですが、突発的外力による割れや欠損が認定される場合は補償対象となることがあります。

ケイカル板についてまとめ

ケイカル板は、不燃・耐湿・加工性に優れた軒天材で、現行住宅の標準仕様として広く普及しています。

軽量・不燃・耐水性を備え、価格と性能のバランスが良いケイカル板は、軒天の長寿命化に寄与する素材です。塗装仕上げによる防水保護と衝撃対策を怠らなければ、長期にわたり安定した外観と性能を維持できます。 【耐久性】約10〜20年(塗装未施工や厳環境では短期化) 【価格】800〜3,000円/枚、工事費は規模・条件により変動 【メリット】軽量/不燃/耐湿・耐水/加工性良好/腐食しない 【デメリット】衝撃に弱い/塗装仕上げが必須

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