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カーペット(ループパイル)

ループパイルは、タオルの毛のように環状(ループ状)の糸が表面に並ぶ構造で、踏圧からの復元性と耐久性に優れた実用志向のカーペットです。均一なループ高さにより弾力があり、通路やオフィスなど人の往来が多い場所でも形状が崩れにくい特性を備えます。

施工はロールカーペット・タイルカーペットの双方で可能で、汚れた部分のみの交換にも対応しやすいのが利点です。一般住宅から商業施設・医療・教育・宿泊まで幅広く採用され、清掃性・耐摩耗性・安全性のバランスに優れた床仕上げとして定評があります。

ループパイルの基本構造

ループの形状と密度が、踏み心地・耐久性・見た目を決定づけます。

製法とパイル形状

代表的な製法はタフテッド(基布に糸を刺し込む)で、ループの高さ・ゲージ(針本数)・ステッチ密度の設計により表情と強度が決まります。ハイローループ(高低差のあるループ)や微細なリブ状のテクスチャは、汚れの視認性を低減し、空間に陰影を生みます。

素材(ナイロン・ポリプロピレン・ウール等)

ナイロンは復元性と耐摩耗性に強く、業務用途の定番。ポリプロピレンは軽量で撥水性に優れ、コストを抑えやすい一方、耐熱・耐摩耗はグレード依存です。ウール混は調湿・難燃性・踏み心地に優れ、上質な質感を求める空間に選ばれます。素材選定は使用環境・清掃頻度・コストのバランスで検討します。

バッキングと形状(ロール/タイル)

PVCやビチューメン、クッション性バッキングなど下層材の違いで寸法安定性や歩行感、遮音性が変わります。ロールは継ぎ目が少なく連続感に優れ、タイルは1枚単位で差し替えやすく、配線点検や部分補修に強みがあります。

性能(耐久・清掃・安全)

人流の多い床で長く使うほど差が出るのが、ループの復元性とメンテ性です。

耐久性・復元性

ループは切断面がなく、糸束が環状に戻ろうとする力が働くため、踏み潰れ(パイルの寝込み)や毛羽立ちが起きにくい構造です。椅子のキャスター・台車・頻繁な歩行でも外観が保たれやすく、通路や共用部の仕上げに適します。

清掃性・メンテナンス

短めで密なループは、塵埃の絡みを抑えつつ表層で留めるため、日常清掃は乾式バキュームが中心。定期的な洗浄(ドライ/ウェット)で衛生と外観を維持できます。柄方向のある意匠やメランジ糸は汚れのカモフラージュにも有効です。

安全性(防炎・帯電・衛生)

用途に応じて防炎性能、帯電抑制、抗菌・防ダニ・防汚などの機能を付与した製品が選べます。適切な下地処理と転倒防止配慮(段差・めくれ対策)により、安全性を一層高められます。

価格・耐用年数・ライフサイクル

概算の目安は「価格 約3,000円/m²〜」「耐用年数 約5〜15年」。素材・密度・施工形態で幅が出ます。

初期費用の考え方

ロールは材料単価が抑えやすく、広面積で経済的。タイルは材料単価が上がる一方、部分交換の容易さで長期運用コストを平準化できます。高密度・高ゲージは初期費用が上がる反面、摩耗の遅さで総費用を相殺しやすい傾向です。

維持費(清掃・更新)

通路や出入口など負荷の偏る箇所はタイル化や予備材の確保で計画的に差し替え、全張替えのタイミングを遅らせます。適正清掃サイクルの設定は外観維持と衛生管理の要です。

採用シーンとデザイン

オフィス・商業・医療・教育・宿泊など、人流が読める場所で機能と意匠のバランスが取りやすい仕上げです。

業務・公共施設

通路・受付・ラウンジ・会議室などで採用が多く、歩行音の低減・転倒時の衝撃緩和・空間の吸音に寄与します。パターンやゾーニングで動線を可視化しやすい点もメリットです。

住宅での使いどころ

廊下・子ども部屋・書斎など、汚れにくさと耐久性が求められる場所に適します。床暖房対応品や遮音等級に配慮した仕様を選ぶと、快適性と実用性を両立できます。

デザインと表情

ループは「なめらかで整った表情」が長所で、無地や細ピッチの柄は空間をすっきり見せます。変化に乏しく感じる場合はハイローループや杢糸、幾何学パターンで陰影と動きを加えると単調さを回避できます。

施工・下地・張り替え運用

仕上げ品質は下地の精度と接着・圧着管理で決まります。計画段階から更新運用を見据えます。

下地条件

レベル差・不陸・含水率の管理は必須。クラックや段差は事前補修し、エントランスなど外部と接する箇所は砂塵対策(マット・風除室)も計画に含めます。

施工方法と注意点

ロールは目地の処理と方向性管理、タイルは目地通りや通線の直行性・枚葉圧着・転圧が品質の肝です。搬入経路の養生や乾燥時間の確保、温湿度管理も仕上げ安定に直結します。

部分張替えと予備在庫

ロット差・色差を避けるため、竣工時に予備材を確保し、負荷の高いゾーンから計画的に差し替える運用が有効です。タイルは配線点検や設備更新時の取り外し・復旧も容易です。

デメリットと対策

意匠の単調さ・引っ掛かりリスク・クッション性の限界は用途に応じた仕様選定で補えます。

意匠の単調さ

無地の広面積では平板に見えることがあります。ハイローループやリブ柄、差し色のライン、エリアラグの重ね使いで視覚的なリズムを与えます。

引っ掛かり(ペット・鋭利物)

ループは爪や鋭利物に引っ掛かるとパイル抜けの原因になります。ペット同居や工具利用が想定される空間では、ループ高さを低めにするかカット系仕上げを検討します。

汚れ・シミ対策

防汚・撥水加工やメランジ調の色柄、土砂トラフィックの手前にマットを設ける二段階導線で、汚れの持ち込みと視認性を抑えます。早期の局所洗浄が再汚染の拡大を防ぎます。

他工法との比較(カット/カット&ループ)

場面に応じて仕上げを使い分けることで、快適性と耐久性を最適化できます。

ループ vs カット

カットは柔らかく防音性に優れ、寝室や居室向き。ループは耐久・清掃性で優位で、通路やオフィス向きです。ペット環境では引っ掛かりに留意して選定します。

ループ vs カット&ループ

カット&ループは意匠変化に富み、ゾーニングやアクセントに有効。ただし同一面での経年差が出やすい場合があるため、メンテ計画と張替え方針を事前に整理します。

カーペット(ループパイル)についてのまとめ

ループパイルは「耐久性」「清掃性」「運用柔軟性」を同時に満たす床仕上げです。人流の多い空間でこそ、本来の価値を発揮します。

価格は約3,000円/m²〜、耐用年数は約5〜15年が目安。素材・密度・施工形態・清掃設計により実力は大きく伸びます。タイル化と予備材確保で部分更新を容易にし、清掃・点検の運用を定着させることが、見た目と衛生の長期維持につながります。

建物材質・種類 - 屋内床材料

プラスチックタイル
カーペット(カット&ループパイル仕上げ)
カーペット(カットパイル仕上げ)
カーペット(ループパイル仕上げ)
塩化ビニル系クッションフロア
ココヤシ繊維床材(コイヤーマット)
コルクフローリング
セラミックタイル床材
タイルカーペット
モルタル仕上げ床
塩化ビニル長尺シート
塩化ビニルタイル
畳床材(い草・樹脂表畳など)
人造大理石床材
天然石材床材(御影石・大理石など)
竹フローリング
麻繊維床材(ジュートマット)
複合フローリング
無垢フローリング
籐(ラタン)床材