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スチール雨戸・シャッター

スチール(鉄に炭素を加えた合金鋼)を主材とし、窓外のレール上をスライドさせて閉鎖する雨戸、または開口上部から降下させる外付けシャッターとして用いる外装建具です。鋼板とも呼ばれ、アルミと並んで広く流通する実用素材で、雨・風・飛来物から開口部を守ります。

スチール雨戸は、強度・剛性・衝撃耐性に優れる一方、錆びの管理が性能維持の要点です。耐久性の目安は約7年~10年、価格の目安は1枚あたり約8,000円前後。紫外線に強く、しっかりした板厚と補強設計により高い遮蔽力を発揮しますが、塗膜や亜鉛めっきによる防錆被膜の維持が不可欠で、メンテナンス頻度はアルミより高くなりがちです。用途に応じて単板タイプ、採風スリット付き、意匠パネル仕様、手動・電動シャッターなど多様なバリエーションが選べます。

基本性能と構成

鋼板の特性と雨戸/シャッターの部位

スチールはヤング率が高く、面外剛性を確保しやすい金属です。面板(戸板/スラット)、補強リブ、枠・ガイドレール、戸車・軸受(スライド式)、巻取り・スプリング(シャッター)、錠・戸当たり・緩衝材などで構成されます。仕上げは亜鉛めっき鋼板+塗装、または粉体塗装・フッ素樹脂塗装などが一般的で、意匠性と耐候性の両立を図ります。採風・採光が必要な場合はルーバー/スリット併用タイプ、遮蔽を重視する場合は単板高剛性タイプを選定します。

耐久性の目安と変動要因

目安: 約7年~10年(環境・維持管理で上下)

スチール母材は強靭ですが、赤錆進行による板厚減少や孔食を招くと性能低下に直結します。寿命を左右するのは(1)塩害・工業地帯の大気環境、(2)日射・雨掛かり・凍結融解の回数、(3)塗膜の劣化速度と再塗装の適切性、(4)戸車・軸受・バネ等の機械部の摩耗、(5)飛来物衝撃による塗膜欠損です。小傷・塗膜ピンホール・端部の腐食芽を早期に処置すれば、実使用寿命は大きく延ばせます。風害・雹害後は歪み・作動抵抗の点検が必須です。

価格とコスト構成

本体参考: 約8,000円/枚前後(仕様・サイズで変動)

価格は板厚・寸法・補強量・表面仕上げ・採風機構・防犯錠・手動/電動で変わります。交換工事では既存撤去、枠・戸袋やボックスの調整、端部雨仕舞、通電(電動時)などの施工費が上乗せされます。初期費用はアルミと同等かやや低めに見える場合もありますが、定期的な防錆塗装を前提にしたライフサイクルコストの評価が不可欠です。塩害地・多雨地域では防錆グレードの引き上げ(重防食塗装、溶融亜鉛めっき)を検討します。

メリット

剛性・耐衝撃・紫外線耐性に優れる実用素材

スチールは同板厚比で高い剛性を得やすく、飛来物に対する一次防護能力が高い点が利点です。紫外線に強く、表面塗装の選定によって色保持・光沢保持を確保しやすい素材でもあります。価格面では流通量が多く、標準仕様であれば入手性に優れます。適切な設計により、戸当たり性能や防風時のバタつき抑制など、安心感のある遮蔽を実現できます。

デメリットと対処

錆びやすさ・塗膜維持・重量対策がカギ

デメリットは、錆に弱くメンテナンスが欠かせない点です。端部・折り曲げ部・切断面・ビス周りは塗膜が薄くなりやすく、腐食の起点となります。下塗り(防錆プライマー)+上塗りの体系で定期再塗装を実施し、欠損部はケレン・素地調整を徹底します。重量はアルミより大きく、戸車やガイドの負荷が増えるため、部品グレードの選定と下地補強が必要です。油脂・薬剤が付着すると塗膜が軟化・膨れを起こす場合があるため、清掃・養生を徹底します。「塗膜で保護しなければならない場合がある」という特性を前提に、保全計画を組み込みましょう。

防錆・仕上げの選び方

めっき+塗装/粉体塗装/高耐候樹脂の活用

防錆の基本は、素地処理→プライマー→上塗りの積層管理です。外部暴露が厳しい環境では、亜鉛めっき鋼板をベースに、粉体塗装やフッ素樹脂塗装など高耐候塗装を選択すると維持管理性が向上します。エッジ部・切断面はタッチアップで亜鉛リッチペイント等を用い、端部キャップやシーリングで水の回り込みを抑制。異種金属(アルミ・銅・亜鉛)との接触には絶縁ワッシャー・スペーサーを介し、電食を回避します。

メンテナンス指針

清掃周期・再塗装・可動部品の交換基準

半年~年1回を目安に、レール・戸袋・ボックス内の砂塵・金属粉・塩分を除去。表面は中性洗剤で洗浄し、研磨材は避けます。白錆/赤錆の点在、塗膜のチョーキング、膨れ・剥離、端部の錆汁が見られたら早期補修。戸車の偏摩耗・回転不良、シャッタースプリングの疲労、ガイドの擦り傷が増えた場合は部品交換を検討します。台風・雹後は作動動画の記録と歪みの有無を点検し、必要に応じて再調整を行います。

想定損害と保険申請の視点

風災・飛来物・雹害・浸食による不具合に備える

スチール雨戸は強風時の飛来物衝突で打痕・歪み・塗膜欠損が起こりやすく、そこから錆が進行します。雹害では局部的な凹みや塗膜割れ、シャッターではスラットの噛み込み・ガイドの開きが発生することがあります。保険申請を検討する際は、発生日時・気象状況、近景/遠景写真、作動不良の動画、修理見積、被害原因の説明資料を準備。経年劣化は対象外となりやすいため、災害起因の痕跡(新旧傷の差・飛散物痕)を明確に記録します。

他素材との比較と使い分け

アルミ・樹脂・木製・銅との実務比較

アルミは軽量で錆に強く、日常の開閉負担が小さい反面、素地断熱は低め。樹脂・ポリカ系は採光・断熱に強みがあるが、熱変形と紫外線劣化の管理が必要。木製は意匠性に優れるが、防腐・防蟻・含水率管理が前提。銅は長寿命・経年美に優れるが高価で重量も増します。スチールは強度・遮蔽性能・価格のバランスに優れ、衝撃・防犯面で選ばれやすい一方、定期防錆と再塗装を内包した運用計画が不可欠です。

施工・納まりの要点

下地補強・雨仕舞・端部処理・絶縁

重量と風圧を支えるため、開口周りの下地は通り・垂直・剛性を確保します。レール固定ピッチは設計値を守り、端部・重ね代・ビス頭は防水シールで水回りを遮断。切断面・穴あけ部は速やかに防錆処理し、タッチアップで被膜連続性を確保します。アルミサッシや亜鉛めっき金物と接触する箇所は、樹脂ワッシャーやテープで絶縁し電食を抑制。シャッターではボックス内の結露対策(換気・断熱)も有効です。

スチール雨戸・シャッターについてまとめ

スチール雨戸・シャッターは、強度・衝撃耐性・遮蔽力に優れた実用素材です。耐久性の目安は約7年~10年、価格は1枚あたり約8,000円前後が参考値です。

一方で、錆対策と塗膜維持が性能の肝であり、定期清掃・早期補修・計画的再塗装、可動部の点検・部品交換を運用ルール化することが重要です。アルミ等と比較して重量は増すものの、高い遮蔽と防護力を求める計画では有力な選択肢となります。環境条件・意匠・運用コストを踏まえ、仕上げグレードとメンテナンス計画を一体で設計してください。

建物材質・種類 - 雨戸材料

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