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吹付仕上げ(リシン/スタッコ/ボンタイル等)

吹付仕上げは、コンプレッサーやエアレススプレーに万能ガンを取り付け、塀の下地に塗料や細粒骨材(人工石・天然石チップ等)を霧状に吹き付けて被膜を形成する仕上げです。代表的な種別として、細粒でマット感のあるリシン、凹凸が大きいスタッコ、石粒感のあるボンタイル、石質骨材を混入した吹付材(グラスト等)が挙げられます。色数が多く意匠バリエーションに富む一方、表面凹凸ゆえの汚れ付着や、施工時の飛散に伴う養生徹底が重要です。

本ページでは、吹付仕上げの種別と特徴、性能・コストの目安(耐久性:約7年~10年/価格:約2,500円/㎡)を踏まえ、メリット・デメリット、長持ちさせる設計・施工・維持管理、さらに保険(火災・地震)申請時の論点までを体系的に解説します。下地調整・シーラー・膜厚管理・養生・環境条件(風・温湿度)の基本と、再塗装や洗浄を核としたメンテナンス計画まで実務目線で整理します。

仕上げ種別と特徴

吹付材の基本理解(骨材・粘度・ノズル・圧力で質感が決まる)

吹付仕上げは、塗材の骨材粒径(細粒~粗粒)、樹脂系(アクリル・シリコン等)、粘度、ノズル径、圧送圧力、吹付距離・角度の組み合わせで表情が決まります。リシンは薄付けの微細凹凸でマットかつ均一感、スタッコは厚付けで陰影が強調され重厚感、ボンタイルは骨材感や石調の意匠に適し、グラスト等の石材系は自然素材の風合いを付与できます。玉吹き・ゆず肌・砂岩調などテクスチャ設計により、建物外装・門塀・外構の意匠連続性を図れます。

● リシン(薄付け・細粒・マット)

細粒骨材による細かな凹凸。薄膜で均一な質感が得やすく、色選択肢が多彩。下地の段差やクラック跡は拾いやすいため、下地調整とシーラー選定が仕上がりを左右します。

● スタッコ(厚付け・凹凸・陰影)

膜厚を確保してコテ押さえや吹付で深い陰影を作るタイプ。重厚感が出る反面、凹凸部に汚れが滞留しやすく、洗浄・再塗装の計画性が重要です。

● ボンタイル(骨材感・石調意匠)

石粒感と立体テクスチャで存在感を演出。門柱や街路側の見せ場に適します。膜厚・付着の管理を怠ると剥離・白華・雨だれが目立つため、笠木や水切りなど排水ディテールも同時に検討します。

● 石材系吹付(人工石・天然石チップ)

天然石・人工石チップで自然な立体感を形成。上塗りクリヤーで色調・耐候・汚染抑制を図る組み合わせが一般的。下地段差は強く表れるため下地調整の精度が鍵です。

性能・価格の目安と評価観点

耐久性・価格(提示条件に準拠)

耐久性は約7年~10年程度が目安です。これは表層美観・防汚・撥水・付着性の観点での再塗装サイクルを示し、下地の健全性・膜厚・樹脂性能・方位・周辺環境(海塩・粉じん・交通量)で増減します。価格は約2,500円/㎡が目安ですが、仮設・養生範囲・下地補修量・凹凸パターン・色数(多色)・トップコート有無により変動します。

【メリット】コストと意匠のバランス

左官仕上げより費用を抑えやすい/色・質感の選択肢が多い/機械吹付のため均一な外観にまとめやすい/薄膜~厚膜まで調整可能で、既存外装とトーンを合わせやすい。

【デメリット】汚染・飛散・下地依存

凹凸により汚れが付着しやすく雨だれ筋が目立つ/施工時に塗材が飛散するため周辺への徹底養生が必須/下地の段差やクラックを拾いやすい/弾性や追従性が不足するとヘアクラックが表層に現れやすい。

設計・施工・維持管理の要点

品質確保の勘所(下地・シーラー・膜厚・環境)

下地調整(不陸修正・段差処理・ひび割れ補修・吸水調整)と適合シーラー選定が最重要です。吸水差が大きいと色むら・艶むら・付着低下を招きます。膜厚は仕様書の下限を割らないよう管理し、風速・温湿度・直射日光・降雨予報を踏まえた施工条件でブロッキング・ダレ・ピンホール・気泡跡を抑制します。天端の笠木・水切り、基礎の排水・勾配計画も同時に整えます。

機器・養生・安全

機器はコンプレッサー/エアレスを仕様に応じて選定。ノズル径・圧力・吐出量・距離・速度を一定に保ち、試し吹きでパターンを確認します。飛散対策として養生シート・防音/防塵・近隣配慮(車両・植栽・開口部)を徹底します。

再塗装・洗浄・補修サイクル

7~10年を目安に、汚染やチョーキング、色褪せ、微細クラックの有無を点検し、部分補修→全面再塗装の順で計画。洗浄は中性洗剤+低~中圧で凹凸内部の汚れを浮かせ、クリヤーや撥水材で汚染再付着を抑制します。

ディテール連携(雨仕舞・隣接材)

天端笠木の有無・水切り形状・目地・端部役物といった雨仕舞の適正化は、雨だれ・白華の抑制に直結します。金属・木部・タイルと取り合う場合は、相手材の伸縮・電食・防錆・止水を考慮し、塗膜の段差・割れを防止します。

保険(火災・地震)と申請のポイント

災害起因の切り分けと立証

吹付仕上げの剥離・膨れ・亀裂・欠損は、経年や施工不良でも生じ得ます。強風・飛来物・地震動・車両接触など災害起因の可能性がある場合は、発生時期・気象データ・周辺被害・前後比較写真・危険度(歩道・隣地側)を整理し、原因切り分けの根拠を提示します。復旧は洗浄・部分補修・全面再塗装のいずれかを選択し、見積は仮設・養生・下地補修・再仕上げ・笠木/水切り改善まで内訳を明確化します。

記録化と再発防止

全景・近景・テクスチャ接写、クラックスケール、付着試験の結果、排水ディテールの状態、周辺汚染源(植栽・交通粉じん)を記録。再発防止として、色・テクスチャの見直し、撥水トップの追加、笠木・水切り・目地計画の改善を併記すると妥当性が高まります。

吹付仕上げについてまとめ

多彩な色とテクスチャを低コストで実現。凹凸ゆえの汚れ対策と計画的な再塗装が長寿命化の鍵

吹付仕上げは、リシン/スタッコ/ボンタイル等の選択でデザイン自由度が高く、均一でまとまりのよい外観を実現します。耐久性は約7~10年、価格は約2,500円/㎡が目安。メリット(費用抑制・色多彩・均一感)とデメリット(汚れ付着・飛散養生・下地依存)を理解し、下地調整・シーラー・膜厚管理・雨仕舞・洗浄/再塗装サイクルを計画すれば、美観と耐久をバランスよく維持できます。境界塀・門柱など見せ場では、テクスチャと色の組み合わせで建物全体の統一感を高める設計が有効です。

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