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半損(火災保険・地震保険における損害区分)

半損とは、建物が災害で損害を受けた際に「部分的に大きな被害を負った状態」を示す損害区分です。主要構造部や床面積に対する被害割合で判定され、火災保険や地震保険の支払金額を決定する基準になります。

保険実務では「一部損・半損・全損」といった区分で整理されます。特に半損は「軽微損ではないが全損でもない」中間的な状態を示し、支払基準や割合が明確に定義されています。火災保険だけでなく、地震保険の損害認定でも重要な概念です。

半損の定義と判定基準

半損は「主要構造部」または「床面積」の損害割合によって定義されます。

主要構造部の損害割合

建物の壁・柱・床・はりなどの主要構造部が災害前の価値を100%としたとき、20%以上50%未満の損害を受けた場合を半損と認定します。構造強度が大きく損なわれる一歩手前の状態です。

床面積に基づく判定

建物の床面積全体を100%とし、津波や火災などで焼失・流出した部分が20%以上70%未満に達した場合を半損とします。残存部分は利用可能でも、建物全体の価値は大幅に下落します。

火災保険と地震保険の違い

火災保険では約款ごとに「半損」の支払割合が規定され、再調達価額の一定割合が支払われます。地震保険では「半損」「大半損」「全損」といった段階区分が用意されており、支払保険金は保険金額の50%相当が上限です。

この基準は法令や保険会社の約款で定められ、契約者が自由に設定できるものではありません。したがって、正確な判定は専門調査員や鑑定人が行います。

一部損・半損・全損との比較

損害の程度に応じて「一部損」「半損」「全損」が区分され、それぞれ保険金の支払割合が異なります。

一部損

主要構造部の損害が20%未満、または床面積の損害が20%未満の場合です。保険金支払は限定的で、修繕可能な状態に留まります。

半損

主要構造部の損害が20%以上50%未満、または床面積の損害が20%以上70%未満の場合。支払割合は保険金額の一定割合(例:地震保険では50%)です。

全損

主要構造部の損害が50%以上、または床面積の損害が70%以上に達した場合。建物が再利用困難な状態で、保険金額の全額が支払われます。

この三段階を理解することで、契約時に補償範囲を明確に把握し、災害発生時の受取額をシミュレーションできます。

半損における保険金支払の仕組み

半損が認定されると、契約保険金額の一定割合が支払われます。

火災保険の場合

建物の評価額(再調達価額)に基づき、損害割合や約款規定に応じて支払額が算出されます。修繕費見積と比較され、不足分は自己負担となることもあります。

地震保険の場合

地震保険では「半損」と判定された場合、保険金額の50%が上限として支払われます。残りの修繕費用を火災保険や自己資金で補填するケースが一般的です。

支払事例

例えば地震によって建物の柱や基礎に30%程度の損害が認められた場合、地震保険では半損として判定され、保険金額の50%が支払われます。その後、火災保険の特約を利用して不足分をカバーする流れもあります。

保険金の支払は複数の制度や契約を組み合わせて補完されることが多いため、事前にプランを確認しておくことが重要です。

半損認定の注意点と実務

半損認定は専門的な調査に基づきます。契約者は証拠資料の準備を怠らないことが大切です。

被害状況の記録

被害直後に写真・動画を撮影し、被害部位・規模を記録することが重要です。修繕前に資料を残さないと、損害割合の認定に不利になることがあります。

調査員とのやりとり

損害認定は保険会社の調査員や第三者鑑定人が行います。専門用語や数値の根拠を理解しておくと、説明や交渉がスムーズになります。

半損とリフォーム工事

半損判定後に修繕やリフォームを行う際、実際の修繕費用が保険金額を超える場合があります。不足分を自己負担にするか、追加特約で補うかを判断しなければなりません。

認定条件・支払割合は法令改正や約款変更で見直されることがあります。契約更新時には最新の基準を必ず確認しましょう。

半損についてのまとめ

半損は「一部損」と「全損」の中間的な損害区分で、主要構造部や床面積の損害割合で判定されます。

火災保険や地震保険で重要な判断基準となり、支払保険金額に大きく影響します。契約時には補償範囲や割合を理解し、災害発生時には証拠資料を整え、適切に請求できるよう準備しておきましょう。